認知症と相続

2025年時点での日本での後期高齢者(75歳以上)の人口は2000万人を超え、そのピークは2040年頃に迎えるとのことで、これからますます後記高齢者の人口は増加することが予想されています。

高齢化とともに問題となるのが認知症患者の増加ですが、2024年の時点でその人数は約443万人にも上ると言われています。

認知症の発症率は高齢になればなるほど高くなり、相続問題にも大きく影響をすることになります。

今回は、認知症による相続問題への影響について説明をしていきます。

 

1 被相続人が認知症になってしまった場合に考えられる問題点

1-1 遺言書の有効性について揉める可能性

仮に亡くなった被相続人の方が認知症の初期の段階で遺言書を作成していた場合、残された相続人間でその遺言書の有効性に疑いを抱く相続人が出てくる可能性があります。

「認知症の親をそそのかして自分に都合のいい遺言書を書かせたのではないか」

他の相続人にこのような疑いをかけらる可能性が出てきてしまいます。

 

1―2 生前にした法律行為の有効性を巡って相続人同士でもめる可能性

認知症の症状が軽度であれば、通常の人と同様に法律行為を行える場合があります。

被相続人が自身の相続対策のためにした生前贈与などの法律行為を行っていた場合において、死後その法律行為の有効性について、遺言の場合と同じように揉める可能性が出てきます。

 

1―3 相続対策自体ができなくなってしまう。

認知症になり症状が進んでしまうと意思能力がないとされてしまうため、法律行為自体が単独ではできなくなってしまいます。

そうなると被相続人が望んでいた内容での財産の承継をする手段が断たれてしまい

相続財産については残された相続人同士での話し合い(遺産分割協議)のうえで分けるようになります。。

なので、認知症となる前に、ご自身で相続対策をとっておくことが非常に重要であると言えます。

2 認知症になる前の生前対策

2-1 遺言書の活用

遺言書を残しておけば遺産分割協議を経ることなく、遺言者の意思をそのまま反映させることが出来ます。

ただし、前述の通り、認知症が発生してから遺言書を作成すると、その有効性が問題になることがあります。

また、遺言書の作成の際は公正証書での作成をすることをお勧めします。

 

2-2 生前贈与の活用

相続財産を推定相続人となる方へ生前に贈与をすることも有効手段の一つとなります。

その際に贈与税のことが気になる方も多いかと思いますが、※相続時精算課税制度を使えば贈与税を負担する事なく生前贈与を行える場合もあります。

 

60歳以上の父母または祖父母が18歳以上の子または孫に贈与をする場合、財産価格の合計額が2500万円に達するまでは贈与税がかからないとする制度。

2500万円を超えた部分については一律20%の税率で贈与税がかかります。

お亡くなり後は、これまでに贈与をした分も相続財産に合算して相続税を計算することになります。

 

2-3 家族信託の活用

被相続人が相続人である家族との間で家族信託契約を結び、その家族に対し、自分の財産を管理したり処分することを委託するというものです。

家族信託を利用することによって、仮に認知症となってしまった後も資産の凍結を防ぐことができ、不動産を売却することも可能となります。

 

2-4 任意後見制度の活用

認知症になる前に任意後見契約を締結し、仮に認知症を発症した後に自分が選んだ任意後見人に財産管理に関することについて代理権を与える事が出来る制度です。

 

3 相続人が認知症になってしまった場合の問題点

3-1 遺産分割協議が出来なくなる

遺産分割協議は相続人全員が合意をしなくてはいけません。

認知症により判断能力を欠いてしまっている相続人はこの協議に参加をすることが出来ません。

したがって相続手続き自体が暗礁に乗り上げてしまう可能性があります。

 

3-2 認知症の相続人がいる場合の遺産分割協議の進め方

相続人の中に認知症の方がいる場合はその相続人のために成年後見人の選任の申し立てを家庭裁判所にして、成年後見人を就任させる必要があります。

選任までは数カ月の時間がかかる場合が多く、選任の申し立てを専門家に依頼をした場合はその費用、成年後見人の就任後は後見人への報酬がかかってきてしまいます。

 

4 まとめ

超高齢化社会に突入をした日本において、認知症の問題は全国民にとって身近な問題と言えます。

裁判所に持ち込まれる遺産分割事件の件数は毎年1万件を超えると言われています。

そして、遺産の額の大小にかかわらず争いは生じてしまうと言われています。

残された相続人のためにあらかじめ生前に相続の対策を打っておくことがとても重要で

「相続」を「争続」にしないためにできることは思い立った時にやることが肝心です。

 

山猫司法書士事務所は、玉川学園駅前に位置し、相続・遺言に関するさまざまなご相談を承っております。相続に関するご質問がございましたら、ぜひお気軽にお問い合せください。

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