空き家と相続

2018年の国土交通省の調べでは、日本全国の空き家の総数はこの20年で約1.5倍増加し(576万戸→849万戸)さらに2023年の総務省の調べでは、ここからさらに5年で約51万戸も増加し、住宅全体の13.8パーセントにあたる約900万戸となったそうです。
国もこの現状に厳しく臨むために、さまざまな対策に乗り出しています。

改正空家措置法

令和5年12月13日「改正空家等対策の推進に関する特別措置法」(改正空家措置法)が施工されました。
この改正により、現行法でさだめられていた、行政がある一定の状態の空家を指定する「特定空家等」の他に、「管理不全空家等」という区分が新たに設けられました。
この「管理不全空家等」とは、そのまま放置をすれば将来「特定空家等」になる恐れがある状態の空き家のことをいいます。(特定空家等の前段階のようなもの)

特定空家等の指定条件

特定空家等は以下の条件に該当する物件に対して行政が指定した不動産の事をいいます。

  • そのまま放置すれば倒壊など著しく保安上危険となる恐れのある状態
  • 著しく衛生上の問題がある状態のまま放置されている
  • 適切な管理が行われていないため、著しく景観を損なっている状態
  • 周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

以上の状態にいずれか該当する場合に行政から指定をされます。

特定空家等に指定されてしまうと、、、

所有をしている不動産が特定空家等の指定を受けてしまうと以下のような不利益があります。

指導空家の管理について行政から指導が入ります。(指導の段階では罰金はありません。)
勧告指導に応じない場合、固定資産税の優遇処置(住宅用地特例)が外れて固定資産税が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。
命令危険箇所の修繕等を行政から命令されます。
過料命令に従わない場合は最大50万円の過料が課されます。

管理不全空家等に指定されてしまうと、、、

今回の「改正空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行に伴い新たに設けられた
管理不全空家等に指定をされてしまうと、特定空家等と同じように、行政から助言・指導・勧告
が行われます。この勧告の段階で特定空家等と同じように固定資産税の優遇処置が外され、固定資産税が跳ね上がってしまうということになってしまいます。
特定空家よりも指定を受けやすいので注意が必要です。

相続と空き家

不動産の相続において、空き家の問題は頭を悩ませる大きな要因の一つです。
所有をするだけで毎年固定資産税が発生するのはもちろんのこと、修理や保全が必要となればその分お金や労力がかかってしまいます。
取り壊せば土地は居住地ではなくなるため固定資産税が高くなります。
だからといって放置をして、万が一倒壊などしてしまった場合は所有者として責任が発生してしまいます。
そこにきて「空家措置法」「改正空家措置法」の施行の流れは、不動産相続において、空き家対策は必須の問題といえるのではないでしょうか。

資産価値のある空き家の相続

資産価値のある不動産を相続した場合は特に問題ないと思われます。この場合の資産価値とはそのまま居住できる家屋をさします。
この場合は、相続人の方がそのまま居住をしたり、賃貸に出すことも考えられます。
売却することもできるでしょう。ただし売却の場合は譲渡所得税(空き家の売却の3000万控除)の関係で相続をした日から3年を経過した年の12月31日までに売却をするようにしたほうが良いかと思われます。

資産価値のない空き家

資産価値のない空き家を相続した場合については、相続人の方で色々な対応が必要になってくる場合があります。
もし資金的に余裕があるのであれば修繕をして賃貸に出したりして再利用をする(ただし資金的に余裕がないと厳しいと思われます。)
もしくは解体して土地を売却することも考えられます。この場合は解体の費用が掛かるのはもちろんのこと、立地によっては簡単に売却できない可能性があることも十分に検討をする必要があります。
相続そのものを放棄してしまう事も可能ですが、放棄には法律で定められた期限(相続があったことを知ってから3か月以内)があるのと、その他の資産も放棄をしなくてはいけないという事を考慮しなくてはいけません。(遺産の一部のみの放棄はできません。)

空き家の多い都道府県

ちなみに余談となってしまいますが、2018年の国土交通省の調査での都道府県別の空き家率の調査では、1位山梨県 2位和歌山県 3位長野県とのことでした。
これは、リゾート地の別荘の空き家が近年増加して問題になっている関係があるようです。

事前の対策が肝心

以上、空き家を相続したときに発生が予想される問題点やそれに対する対策をご紹介させていただきました。
故郷のご実家で現在は親御様がお住いのところ、お子様はみんな故郷を離れてご実家に今後誰も住む予定がなく、空き家になってしまう等のケースはよくあることだと思います。
空き家を相続することはリスクが伴いますので、事前に被相続人となる方との間でしかっりとした話し合いの時間をとることで対策が練りやすくなるのではないかと思います。
いずれにしても、空き家問題は国が積極的に取り組んでいる問題なので、これからまた制度が変わっていく可能性も十分考えられます。
制度が変わることによって、適切な対応の仕方も変わってきますので十分注意が必要です。

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